

労働者が,労使間でのトラブルの解決方法として,合同労組に加入して団体交渉を使用者に申入れる例が多くあります。合同労組は,日本全国にあり,柔軟路線をとる組合からイデオロギー性の強い労使対立路線の組合まで幅広くあります。また,労使対立路線の組合の中にも,落としどころを考える組合とあまり考えない組合があります。一方で,ナショナルセンター(たとえば連合)に属している合同労組でも労使協調路線ばかりではありません。さらに,組合の交渉担当者によっても対経営側への対応が変わってくることがあります。
合同労組の性格は千差万別ですが,団体交渉の申入れとそれに続く団体交渉については,共通した留意点があります。合同労組への対応も合同労組の情報を収集しつつ団体交渉の留意点を押さえて臨機応変に対処していけば,労使間の自主的な交渉で話がまとまる場合も多くあります。しかし,対応を間違えると労使関係が不必要にこじれます。合同労組が不合理な要求に固執した場合は断固それを拒否する必要もありますが,必要以上に労使関係をこじらせるのは得策ではありません。
本稿では,団体交渉に余裕を持って臨むために,合同労組から団体交渉を申入れられた事例をもとに,団体交渉の留意点を紹介したいと思います。
A社は,正社員20名,契約社員40名の商社でした。しかし,リーマンショック以降景気の悪化もあって,受注が減り,契約社員の雇止めをすることにしました。部長であるBは,契約社員10名を雇止めにすることにし,自分の判断でその対象者を選びました。雇止めになった契約社員のうち5名が合同労組の「合同ユニオンC」に加盟し,「Aユニオン」を結成し団体交渉の申入れをしてきました。
A社のB部長は,顧問の社会保険労務士の紹介で,経営側の労働問題を得意とする弁護士Dを訪問し,団体交渉について相談することになりました。
・・・という状況で,今回はC労働組合への対応をご相談したいと思って参りました。先生,C労組とはどのような組合でしょうか。
私は,東京や地方の合同労組に対する団体交渉をよく頼まれます。C労組とも何回か交渉したことがあります。団体交渉で話がまとまらず法廷で決着したケースと,団体交渉で妥結したケースがあります。ところで,組合からはどのような書面が届いていますか。
労働組合結成通知,団体交渉申入書,暫定労働協約などです(
書式1) (
書式2) (
書式3)。これらは,送られてきたのではなく,本社を突然訪れたC労組の幹部2名が持参してきました。その時は私が対応したのですが,当社には組合がなく,組合と交渉したこともなかったので,いやぁ,びっくりしました。
団体交渉の申入れを受けると驚きますが,慌てて行動を起こすのが一番まずいと思います。慌てて,組合の言うことを丸呑みするのもいけませんが,全て拒否するのもいけません。御社としては,今後,①組合に対し回答猶予の回答書の提出,②団体交渉の申入れ書類に不明点があればその点の問い合わせも含む回答書の作成,③具体化された協議事項に対する回答書の作成,または④団体交渉のルールおよび団体交渉の日程調整に対する回答書の作成,⑤会見し協議する団体交渉という段取りでことを進めていくのがよいと思います。
「回答猶予の回答書」とはどのようなものでしょうか。
団体交渉申入書には,団体交渉の日時場所が指定されていますが,それに従う必要はありません。団体交渉の申入れがあった場合,使用者としては,申入れ事項を検討し回答をする,または面談による団体交渉をするのに当然準備のための合理的な時間を必要とします。しかし,なにもせずにいると団体交渉を拒否したとして労働委員会に不当労働行為の申立をされてしまうおそれもあります。そこでまず,回答に時間的猶予を求める旨の回答書を出すことになります。回答書のひな形をお渡ししますので参考にしてください(
書式4)。第一弾の回答書のポイントは,会社の代表者名義では,出さず,今後窓口となる者の名義で出す点と,当面書面にてのやりとりを求める点です。
当面書面でやりとりすることを求めるメリットはどこにありますか。
組合から電話等での問い合わせで業務に支障が出るのを防ぐことができます。
「問い合わせを含む回答書」とはどのようなものですか。
団体交渉の申入書をみると,(1)で契約社員の雇用関係についてとありますが,具体的な交渉の議題がはっきりしません。まずその具体化をもとめるべきです。(2)で不当労働行為をしないことというのが議題にあがっていますが,これも理由を示して議題にあげる必要性がないと回答すべきです。(3)のその他については,「内容がはっきりしないので回答できない」とすべきです。回答書(
書式5)については,私の方で具体的に書いてお渡ししましょう。なお,暫定労働協約については団体交渉の協議事項に明示されていないので,あえて触れないほうがいいと思います。組合も暫定労働協約をひとまず送っているというだけで,真剣に団体交渉事項とするつもりがない場合があります。
先のことになりますが,この質問に対し組合から回答が来たらどうするのですか。おそらく雇止めの撤回が具体的な議題になると思います。
会社としては,当該対象者については雇用契約の期間が満了により雇用契約が終了したもので,なんら問題がない旨回答することになると思います。これも私のほうで回答書を作って差し上げましょう。
ありがとうございます。ひとまずその方針で進めてみます。

先日は,いろいろアドバイスを頂きありがとうございます。アドバイス通り「期間満了による契約終了であり,何ら問題ない」という回答書(
書式6)を出したのですが,組合からは,案の定,「更新の手続きがしっかりなされていない」とか,「契約社員となる際,人事の担当者から原則として更新すると言われた」とかいう話が出てきて,さらに回答する必要が出てきました。また,組合からは,争点がはっきりしたのだから,書面ではなく面談での交渉をして欲しいとの要望が出てきました。当社としても,書面のやりとりだけですと時間がかかる可能性があることから,会社の実情も説明し理解を求めたいと考えております。
団体交渉の方法については,文書の往復や電話などによる協議は,当事者の合意に基づくものでない限り,誠実交渉義務を履行したことになりません(東京地判平2.4.11判時1352号151頁)。したがって,争点がはっきりし,その争点については書面のやりとりで双方の一応の見解と根拠が明らかになり,組合も今後は面談での交渉を求めてきている場合は,原則として面談での団体交渉に入る前提で,団体交渉のルールを決めるための回答書を作成してはどうでしょうか。
その回答書とはどのようなものでしょうか。
これもひな形をお渡しします。(
書式7) 団体交渉のルールを設定するためのポイントがいくつかあります。
●第一に,面談による団体交渉をするにしても,組合事務所や貴社内は避けた方がいいでしょう。団体交渉がエンドレスになりかねませんし,貴社内を訪問した顧客にも紛争が知られるおそれがあります。
●第二に,交渉の時間は二時間程度にしてください。組合としては,経営者側が疲れて妥協するのをねらってくる場合もありますから。できれば時間制の貸会議室がいいと思います。
●第三に,時間帯は,就業時間外にしてください。就業時間内ですと業務に支障が出る場合もありますから。
●第四に,出席人数は,双方4名を上限とするとしてはどうでしょうか。使用者側は,発言者1名と記録係1名を最低決めておいてください。人数の上限を決めておかないと組合が多数で押しかけて圧力をかけてくることもありますから注意してください。
●第五に,録音やビデオ録画は行わないようにしてください。記録係がいれば記録保持としては十分といえるからです。
組合が,雇止めになった組合員が5名いるので6名から7名のメンバーを交渉委員として認めて欲しいと言ってくることはありませんか。また,録音をさせて欲しいと言ってくることはありませんか。
人数もあまりそれにこだわりすぎて団体交渉ができないと団体交渉拒否となる場合もあります。組合が雇止めになった元契約社員5名と上部団体の役員2名程度のことをいってくるなら,第1回に限りそれに応じ,以後は別途再協議としてはどうでしょうか。くれぐれも,無制限に組合の要求に応じるとそれが労使慣行となって,その変更ができなくなりますから注意してください。録音については,組合がしたいといってきたら,こちらもするということで対応してはどうでしょうか。組合だけが,録音するとそこに編集等されてもなかなかわかりませんから。
録画ということも要求してくることがあるのですか。
あります。組合は,「団体交渉が平穏に行われたことを明らかにするため」と主張しますが,録音をすればその目的は十分果たされますし,録画されると落ち着いた交渉ができません。組合にもよりますが,カメラを使用者側だけに向けて無言の圧力をかけるために録画をするケースもあります。気をつけてください。
わかりました。では,組合と団体交渉のためのルール作りのための書面のやりとりをしてみます。仮に書面のやりとりだけで,ルールが決まらない場合はどうしたらいいのでしょうか。
例えば,労使双方が2名ずつ出席する「団体交渉準備会」の開催を1時間程度で開催してみるという手もあります。準備会を開くと,本格的な団体交渉では建前が先行し落としどころが分からないので事前にその点を探ることができたり,組合の中心となる交渉担当者の人柄を知ることができるメリットもあります。しかし,準備会というのを組合が無視して団体交渉の本題に入ってくることがあるので注意も必要です。組合が,「使用者が団体交渉の準備と言おうが,組合としては団体交渉として臨む」と宣言しているような場合は,準備会を開くか慎重に判断してください。

組合と面談による団体交渉が開かれることになったのですが,今日はその具体的な対応方法についてアドバイスをいただきに来ました。組合は,最初に当社に来所した際,団体交渉には社長の出席をお願いしたいと言ってきましたが,どうしましょうか。
団体交渉では,使用者側の交渉担当者を決めます。社長など代表者が交渉担当者となると,団体交渉の席上で合理的な検討の時間もなく,決断を迫られるおそれがあります。代表者以外の交渉権限のあるものが団体交渉には出席すべきです。
組合から,妥結権限がない者が出席しないと困ると言われませんか。
妥結権限のあるものが団体交渉に出席しなければいけないと言うことはありません。交渉に応じたうえで,妥結については権限者と諮ることは当然に認められることです。
では,組合側の話を「承っておく」とだけいって団体交渉を終えてもいいのでしょうか。
いいえ,使用者には,労働組合の代表者と誠実に交渉する義務があります。すなわち,使用者は単に組合の要求や主張を聞くだけでなく,それらの要求や主張に対しその具体性や追求の程度に応じた回答や主張をなし,必要に応じて論拠を示し資料を提示する義務があります。したがって,実質的な交渉権限のないものによる見せかけだけの団体交渉は,誠実交渉義務違反として不当労働行為となります。
社会保険労務士に代理人として交渉してもらうことはできますか。
交渉権限を委任し交渉を代理してもらうことは,労働組合法6条で認められています。社会保険労務士の場合は,全国社会保険労務士連合会が,「労働協約の締結等のために団体交渉の場に,当事者の一方の委任を受けて,当事者の一方とともに出席し,交渉することは,処分権を持つ代理人になるなど弁護士法72条(非弁行為の禁止)に反しない限り,当然社会保険労務士の業務の範囲である」との文書を平成18年6月30日付で出しているので参考にしてください。私も使用者から団体交渉の依頼を受けた場合,顧問の社会保険労務士の先生に団体交渉の席に一緒に出席していただいたことが多々あります。
組合から,暫定労働協約の締結を申し入れられていますが,これも締結しなければならないのでしょうか。
暫定協定の第1条,第2条は,一見すると問題がなさそうですが,労使対等を強調し,組合員の地位の向上と会社の発展を同レベルに並べています。そもそもクライアントへのサービスの提供により会社に利益が出なければ労働条件の向上は図れませんから,この協約は会社経営への重大な足かせとなる可能性があります。また第1条の組合員の社会的地位の向上というのもよくわかりません。このような協約を締結すると組合は,「会社は,組合員の経済的社会的地位向上を約束したではないか」といって,会社の状況を考えずに要求実現を迫ってくる可能性があります。第3条から第5条はAユニオンをA社の労働者の中心に置き組合による会社支配を目指すものといえます。労働協約は,労働契約を直接規律する規範的効力を有しますが,第3条はそれを超える効力を労働協約に与えるものです。また,労働協約は本来締結労働組合の組合員のみを規律しますが,第4条はそれを超える効力を労働協約に与えるものです。唯一団体交渉条項はそもそも他の組合の団体交渉権を侵害するものですから,第5条は無効です。このような協約を締結すると組合は,未組織の労働者に対してまで影響力を持つことになり,他の従業員がAユニオンに入るのを推し進める可能性があります。第6条の労働条件の変更については,常に組合に団体交渉を申入れなければならないとすることも特別な義務を使用者に負わせるもので慎重に判断すべき事柄です。このような条項を入れると組合員に関する事柄は広く団体交渉事項にせざるを得なくなり,組合による会社支配につながり経営権が侵害されるおそれもあります。第8条,第9条は,会社の本来有している施設管理権を制限するものです。第10条,第11条は,「これに関する一切の事項」を根拠に使用者が団体交渉を行うことを労組法によって義務付けられていること(義務的団体事項)を超える事項についてまで団体交渉において議題にすることを認め,会社に考える余裕を与えずに交渉を強いるものです。第12条は組合が多数で交渉の場で圧力をかけるのを認めるものです。第13条は議事録を労働協約と同等の地位に格上げするものです。
このように,組合の提案する暫定協定とは組合による会社支配を一気に進めるもので極めて危険なものです。もっとも,合同労組の場合,暫定協定を含む労働協約の締結を議題にしてきますが,必ずしもそれに固執しない例も多いようです。慌てて労働協約の話をしないようにしてください。
そんなに危険なものだったのですか。思わず締結してしまいますね。
組合も,暫定協定を何も考えずに結ぶようなレベルの会社かどうかをみています。このような協定を結んだら大変なことになります。
団体交渉をすると必ず妥結しなければならないのでしょうか。
使用者は,誠実に団体交渉をする義務を負いますが,使用者には組合の要求ないし主張を容れたり,それに対し譲歩をしたりする義務まではないので,十分な議論の後に双方の主張がなお対立し意見の一致を見ずに交渉打ち切りになる場合,誠実交渉義務違反となりません。
議事録のようなものは作成する必要があるのでしょうか。
組合は,よく議事録を作成し会社の記名捺印を求めてくることがあります。議事録の内容が組合に有利にできている場合もあるので,基本的には組合が作成する議事録に会社が記名捺印をするのは避けるべきです。組合には「議事録は組合と会社が各々作り保存しておけば十分ではないか」と言えばいいと思います。
交渉場所での座る場所などについてなにか配慮が必要ですか。
使用者と労働者が対面するように,しかもある程度離して席を設けた方がいいと思います。使用者はできれば,入り口に近い席にしましょう。いざとなったら安心して交渉を打ち切って引き上げることができます。もちろんテーブルや席の設定も会社側で行った方がいいので,会場には早めに行って,席を設定し着席して組合を迎えるようにするとよいと思います。
会社側の出席者の役割分担はありますか。
会社側を統括し発言をするもの1名と記録をとるもの1名は決めておきましょう。会社側の出席者は,あくまで統括者が発言を許可するまで発言はしないようにしましょう。よく,組合は,雇止めをした担当者が出席している場合,その者の発言を求めることがありますが,統括者が許可するまで勝手に発言しないように指導してください。
組合側の出席者が勝手に発言をする,特に不規則発言をするような場合はどのようにしたらいいのでしょうか。
会社側の統括者から組合の出席者の代表者に発言者を整理するように求めてください。
組合員が机を叩く等した場合はどうしましょうか。
団体交渉はあくまで話合いですので,落ち着いて話合いをするように促しましょう。もっとも,組合幹部も組合員の手前パフォーマンスをしている場合もありますが,このような行為が繰り返されるようなら交渉を打ち切っても正当の理由のない団体交渉拒否とはならないでしょう。
第1回の団体交渉の後はどのようになっていくのでしょうか。
団体交渉で論点を整理し,更に話し合っていくことになりますが,組合によってはあくまで多人数での団体交渉という形で話合いをまとめていくことに固執するタイプと,組合幹部に交渉権限を一任し組合幹部と会社との間で更に話し合っていくタイプに分かれます。前者の場合,どうしても建前論が先行し,話がまとまりにくいという傾向があります。後者の方が一般的に本音の話ができまとまりやすいという傾向があります。
キーパーソンとなる組合幹部との間で交渉を進めるにはどうしたらいいのですか。
組合の方から,少人数での交渉を求めてくる場合もあります。そのようなことがない場合は,折を見てこちらから少人数での交渉に切り替えないか提案することもあります。交渉の途中で行うことも,交渉の終了時に行うことも,交渉終了後電話で行うこともあります。
合同労組の場合,街宣活動をする場合があるといわれていますが,この点はどうですか。
組合によっては,会社が組合の要求に応じない場合,街宣車を出したりビラをまいたりすると言ってくる場合もあります。しかし,街宣活動をするには組合も人も集めなければならないなど手間がかかるので,街宣活動をすると言ったからといって必ず街宣活動がなされるわけではありません。したがって,狼狽する必要はありません。しかし,くれぐれも「街宣活動などしてもらっても構わない」など組合を挑発するような言動は避けてください。仮に組合が街宣活動を行った場合,ビラが会社の誹謗中傷に当たる場合もありますので,ビラは入手しておいてください。
先生の話をお聞きして,少し安心しました。今日はありがとうございました。

組合と3回団体交渉をしているのですが,こちらも不況に伴って雇止めをしなければならない必要性など説明してきたのですが,組合側が再雇用という建前論を主張し,話がまとまりません。このような場合はどうなるのでしょうか。
前回もお話ししたように,使用者は,誠実に団体交渉をする義務を負いますが,組合の要求ないし主張を容れたり,それに対し譲歩をしたりする義務まではありません。十分な議論の後に双方の主張がなお対立し意見の一致を見ずに交渉打ち切りになる場合は誠実交渉義務違反となりません。そうした場合,組合は,労働委員会のあっせんという手続きをとってくる可能性があります。あっせんは,労使の意見の一致が見られず労働争議が起きるか起きうる状態のときに,当事者双方または一方の申請に基づきなされるものです。組合側のあっせん申請によって開始される場合がほとんどですが,会社側はあっせんに応じる義務があるわけではありません。
しかし,実務上は会社側があっせんに応じる場合が多いと思います。あっせんに応じること自体が誠実交渉を尽くしていることにもつながるからだと思います。またあっせんが開始されたからといって,まとまりそうもない事案では,あっせん員があっせん案を出すことはほとんどありません。
あっせん員とはどのような人が選任されるのですか。
労働委員会の会長が指名しますが,労働委員会事務局員が指名される場合も多くあります。
当社としては,紛争が長引くのは避けたいので,金額にもよりますが金銭解決を含め考えているのですが,何かアドバイスはございますか。組合と本音の話をしたいのですが。
組合幹部に電話をして少人数での話し合いを提案してみてはどうでしょうか。組合と金銭解決をした場合の問題は雇止めを受け入れつつ組合にも加入しなかった5名への影響です。組合との金銭での解決ができた情報が流れると,組合に加入していなかった人が組合に加入し金銭請求をしてくる可能性もあります。金銭的解決の場合,解決金の支払い方法を組合への一括払いにするとか,交渉内容を一切口外しないような一筆をとるとか,いろいろ工夫することが必要です。紛争の拡大防止のために,組合側からいろいろな提案が出る場合もあります。くれぐれも,会社側から「妥結後当社を辞めた契約社員を新たに組合に入れて団体交渉をするのは辞めて欲しい」というのは避けてください。不当労働行為になると言われかねません。
組合と会社との間で和解案に乖離があってなかなか溝が埋まらないという場合はどうしたらいいでしょうか。
御社もある程度の譲歩をしてでも話をまとめようとするなら,御社から労働委員会のあっせんを申請するという方法があります。
なるほど。先生のアドバイスに従い組合と交渉してみます。

先生ありがとうございました。おかげさまでAユニオンとの交渉は妥結しました。先生のおかげです。ところで,当社で雇止めにならなかった契約社員のうち5名が賃金の引き上げを要求して別の合同労組E労働組合に加入したのです。5名の中には会社に批判的な急進派が2名ほど入っています。
私も,E労組とは交渉したことがあります。ここは使用者側の話も十分に聞きます。こういう組合には,会社側の考えを十分伝えれば,むしろ急進派組合員の説得役を引き受けてくれる場合もあります。
そうですか。では安心して良さそうですね。
油断はできません。急進派の組合員がE労組を飛び出して他の合同労組に加入するということもありえます。したがって,ひとまず今までお話しした定石に沿った交渉をしてください。
わかりました。今後もご指導下さい。
またご相談下さい。
