
相手から提示された契約書の内容に疑問点等がある場合には,その場であいまいな返事をせず,その契約書を持ち帰って検討すること,この場では契約を締結しないこと,という意思を明確に示しましょう。契約は面前での口約束,電話での通話,電子メールでのやり取りでも成立します。相手が契約書を提示した場合,その契約書に署名捺印しない限り契約が成立しない,ということはありません。そこで,上記の意思を相手に伝わるように明確に伝えましょう。
それでは,契約書を持ち帰ったとして具体的にどのように検討すればよいのでしょう。下記の2及び4を見てください。
例えばあなたが会社の営業担当者で,会社の業務に関連して契約書を相手から提示された場合,あなたの会社に法務部等の契約書を審査するための専門的部署があれば,法務部等に契約書のチェックを依頼することになるでしょう。しかし,仮にあなたの会社にそのような専門的部署がない場合には,どのようにすればよいのでしょう。会社が行う取引は,取引金額が莫大であるばかりでなく,多くの利害関係人が発生する場合があるので,慎重に締結しなればなりません。よって,弁護士等のプロに相談して契約書のチェックを依頼するのが,リスク管理として重要です。
個人であっても,契約の当事者として相手方契約書を提示される場合はあります。例えば,住居を借りる場合には不動産賃貸借契約書を交わしますし,会社等で勤務する場合には雇用契約書を交わします。住居も,仕事も,あなたの生活ひいては人生に大きく関わることなのですから,会社が契約を締結する場合に劣らず,慎重に検討しなければならない場面です。個人の場合は,知人に弁護士がいる人は多くはないでしょうが,弁護士を探して依頼する手間を惜しんだために,将来大きなトラブルに巻き込まれないとは限りません。契約書の内容に疑問を感じた場合には,億劫がらずに弁護士に相談してみましょう。
団体交渉の申し入れに伴って、組合から暫定協定の締結を求められることもあります。これにも直に応じる必要はありません。暫定協定の内容には、不当労働行為を行わないとか、交渉申し入れ義務とかを使用者に負わせるものが有ります。しかし、不当労働行為を行わないのは法令に定められた当然のことですし、組合員についての労働条件についてに常に組合に交渉を申し入れなければならないということも法令で定められた事を上回る義務を使用者に負わせるものですので慎重に判断するべきだからです。

契約には様々な種類の契約があり,当然それぞれの契約によって契約書のチェックポイントは異なってきます。あらゆる種類の契約に関する契約書のチェックポイントをここで挙げるのは不可能なので,ここでは多くの種類の契約の契約書に共通する一般的なチェックポイントを紹介します。
契約書には例えば「売買契約書」等という題名が付けられているのが一般的です。もっとも,契約内容は契約書の本文によって決まります。たとえ契約書の題名が「売買契約書」であったとしても,目的物を無償で譲り渡す契約内容だった場合は,その契約書は贈与契約についての契約書であることになります。そこで,契約書を作成する場合には,その契約書の題名が契約内容を正確に反映した妥当なものかについて注意しなければなりません。また,契約書のチェックにあたっては契約書の題名に惑わされずに,契約書の本文から契約内容を判断する必要があります。
契約書の題名が「覚書」や「合意書」の場合は,その他に元となる契約書が存在する場合が多いと言えます。そこで,契約書を作成する場合は,その覚書や合意書と,それに関連する契約書との効力関係について明示すべきです。また,契約書をチェックする場合には,他に覚書や合意書が存在するかどうかを調査すべきです。
契約当事者が会社等の法人である場合,契約を締結した者(契約書に調印した者)に会社を代表する権限がなければ,その契約の効力は会社に帰属しないのが原則です。調印したのが代表取締役であれば,会社代表権限があるのが明らかなのですが,それが例えば会長・副社長・単なる取締役・支配人・部長等であった場合はどうでしょうか。この場合は代理権がある場合とない場合がありうるので,調査するか弁護士に対応方法などを相談する必要があります。
契約書に調印した日付は,契約成立日であると推定されます。しかし,場合によっては契約書にあえて契約成立日を別の日として指定する場合もあります。契約成立日は,履行の期日や消滅時効の起算点にも関わってくる重要な事項です。そこで,契約書を作成する場合は,契約調印日と契約成立日をどうするのかの判断が必要となり,契約書をチェックする場合は,契約成立日がいつであるかをチェックする必要があります。
契約書には署名捺印がされるのが通常ですが,署名の代わりにゴム印で会社名を押すのはよいのか,捺印は実印か認印か,という問題があります。実際にはゴム印(記名)や認印でもよいのですが,契約書の信用性を確保するためには署名と実印による捺印によるべきなので,契約書作成の際には注意すべきです。また,契約書チェックの際には記名や認印による捺印がされている場合には,契約書の偽造を疑う余地があります。
署名捺印のための印とは別に,いわゆる「契印」「割印」「訂正印」「捨印」「消印」が使われることがあります。

契約書を交わして契約を締結する際には,その当事者は良好な関係にあるのが通常ですから,将来どのようなトラブルが起こりうるのか,ということをなかなか想像することができません。しかし,契約にまつわるトラブルは必ず誰にでも起こりうるのであり,そのようなトラブルをできるだけ避けるために契約書があるのです。弁護士ならば,客観的な立場から将来起こりうるトラブルを想定して,それに対処するための契約書作成の手助けとなってくれます。また,相手との関係を考えて,顧問弁護士から指摘されたといって契約書の訂正を相手に求めると,相手が仕方がないとして訂正に応じてくれるケースも少なからずあります。
不幸にも契約にまつわるトラブルが発生してしまった場合には,契約書が当事者間で交わされている場合,その契約書の文言に沿って解決を図ることになります。しかし,普段契約書に接していない人は,その契約書の文言を十分に理解できなかったり,理解できたとしてもその文言が法律上有効であるかどうかの判断がつかなかったりします。弁護士ならば,その契約書の文言を正確に理解して解決の糸口を探すことができます。また,契約書の文言は常に有効であるとは限らず,中には法律上無効な内容を含む契約書もあるのですから,弁護士に相談したならば,契約内容の有効・無効も判断することができ,それが解決に大きな影響を与える場合があります。
契約はトラブルを避けるためではなく,当事者間の取引を開始させ,当事者に利益をもたらすためのものでもあります。せっかく大きな利益をもたらす契約を締結しても,その契約内容が強行法規(これに違反する法律行為を無効とする法律の規定のことです)や公序良俗(公の秩序及び善良な風俗という,抽象的な基準です。これに違反する契約も無効です)に違反していたために,契約が無効となり契約内容が履行されず,見込んでいた利益をあげられなくなることも十分に考えられます。弁護士ならば,強行法規を含む法律の規定や,判例に精通しているのですから,契約の有効性を確保するためにも弁護士に契約書の作成・チェックを依頼すべきです。