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2024年4月1日施行の法改正について

2024年03月05日

 2024年4月1日施行の法改正については、従前よりお伝えしておりましたが、重要なものが多いため、施行時期が近づいてきたので改めてお知らせいたします。
法改正のうち重要なものとして、①労働条件明示に関するもの、②裁量労働制に関するもの、③時間外労働の上限に関するもの、この3つが挙げられます。

◆労働条件明示に関するもの

①〔全従業員対象〕
採用時に、将来変わりうる就業の場所や従事すべき業務の範囲を明示すること

例えば、就業場所や業務内容の異動の範囲に制限がない従業員の場合、4月1日以降は、採用時の労働条件通知書等に下記に準じた記載をする必要があります。

就業場所 業務内容
(雇い入れ時)○○営業所
(変更の範囲)本社及び各営業所
(雇い入れ時)営業部における業務
(変更の範囲)営業部以外の全部署における業務

②〔有期雇用労働者対象〕
㋐更新上限の明示、㋑更新上限の新設・短縮時の説明義務、㋒無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示
●更新上限の明示
更新上限の有無内容を、雇い入れ時及び各更新時に明示すること

・記載例①(更新回数の上限) ・記載例②(通算契約期間の上限)
更新上限:無し・有り(更新回数●回まで) 更新上限 無し・有り(通算契約期間●年まで)

●更新上限の新設・短縮時の説明義務
雇い入れ時よりも後にⓐ更新上限を新たに設ける場合、またはⓑ雇い入れ時に設けていた更新上限を短縮する場合には、事前に、更新上限を新設または短縮する理由を有期雇用労働者に説明することが求められます。
●無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示
無期転換申込権が発生する更新のタイミング(原則として、有期雇用契約の通算期間が5年を超えた更新のタイミング)ごとに、無期転換を申し込むことが出来る旨と、無期転換後の労働条件を明示することが必要になります。
記載例 ※労働条件の変更がある場合の別紙は、別途作成が必要です

本契約期間中に会社に対して無期雇用契約への転換の申し込みをしたときは、本契約期間の末日の翌日(●年●月●日)から、無期雇用契約に転換することができる。この場合の本契約からの労働条件の変更の有無(無し・有【別紙のとおり※】)。

◆裁量労働制に関するもの

●専門業務型裁量労働制
これまでは、専門業務型裁量労働制を適用するには、従業員代表者と労使協定を締結し、就業規則等に専門業務型裁量労働制を適用する旨の規定があれば、適用対象者の同意は不要でした。
しかし、2024年4月1日以降は、専門業務型裁量労働制を適用するためには、適用対象者の同意が必要となります。
これに伴い、現時点で専門業務型裁量労働制を適用している企業では、3月31日までに、適用対象者から同意を取得するとともに、下記①から③の内容を追加した労使協定を従業員代表者との間で締結した上で所轄労働基準監督署に届出をする必要があります。
①労働者本人の同意を得ること
②労働者が同意をしなかった場合に不利益な取扱いをしないこと
③制度の適用に関する同意の撤回の手続き

◆時間外労働の上限に関するもの

建設事業、医師及び自動車運転業務などについては、これまで時間外労働の上限規制の適用が猶予されていました。2024年4月1日以降、これらの事業・業務についても時間外労働の上限規制が適用されます。ただし、下記の原則的な時間外労働の上限規制がそのまま適用されるのではなく、一部異なる規制が定められています。詳しくは2024年1月号のKAI労務ニュースをご覧ください。

【原則的な時間外労働の上限規制】
原則 月45時間年間360時間が上限
例外 以下の範囲での延長が可能
①時間外労働と休日労働の合計が1か月100時間未満であり、時間外労働が月45時間を超える回数が年6回以内であること
②時間外労働と休日労働の合計が2~6ヶ月平均が全て1か月あたり80時間以内に収まること
③時間外労働時間が年720時間以内であること

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